日本は地震大国です

地震活動期
(2007/05/06)

小プレートが列島圧縮?/活断層以外も警戒を

 最大震度6強を観測した能登半島地震の恐怖も覚めやらぬ中、三重県中部で5強の地震が起きた。これらを含め過去十数年、日本列島の広い範囲で、大きな被害をもたらす地震が頻発している。何が原因なのか。今後、どうなるのか。石橋克彦・神戸大学都市安全研究センター教授(地震学)の学説を紹介する。
 地球の表面は、十数枚の岩の板(プレート)で覆われている。その一つ、フィリピン海プレートは、太平洋側の駿河南海トラフという海底の深みから西南日本の下に沈み込んで、陸地を変形させている。そのゆがみが限界に達する度に過去、安政東海地震安政南海地震(一八五四年)、東南海地震(一九四四年)、南海地震(四六年)などマグニチュード8クラスの巨大地震が繰り返し発生した。
 さらに、巨大地震に先立つ約五十年間は、内陸で大地震が続発した。石橋教授は、これらが起きた北海道・東北の日本海側から中部・近畿、九州に至るまでの範囲が、ユーラシア大陸のプレートから分離した小さなプレート(アムールプレート)の東の縁(東縁変動帯)だと提唱する。
 石橋説によると、アムールプレートは、年間一―二センチずつ東へ動き、北海道・東北から関東に至る別の「オホーツク(海)プレート」に衝突し、東縁変動帯に東西方向の圧縮力が生じている。東縁変動帯は駿河南海トラフでは、フィリピン海プレートに乗り上げようとしている。
 「東縁変動帯の一角が大地震で崩れると、ほかの弱い部分の東西圧縮力が少し増える。結果として大地震が連鎖的に起こり、トラフ沿いのひずみも増大して最終的に巨大地震が発生する」。例えば、一九九五年の兵庫県南部地震阪神・淡路大震災)は、九三年の北海道南西沖地震に発生を促されたともみられる。石橋教授は、この考えを既に九五年六月に出版された論文で発表、北陸、中国、北九州なども要注意と書いていた。

 国土地理院の衛星利用測位システム(GPS)による観測データから、アムールプレートの東進とみられる動きで、列島が東西方向にじわりと圧縮されている状況が確認できる。今世紀半ばまでの発生の恐れが強い南海地震など巨大地震を前に、東縁変動帯の地震活動期は始まっている。
 石橋教授は「北海道北西沖や秋田県沖、信越、別府湾、兵庫県周辺なら山崎断層や若狭湾京阪奈など、まだ大地震が起きていない地域はいくらでもある。やや長期的には、こうした広い範囲で注意が必要だ」と指摘。
 さらに、鳥取県西部地震能登半島地震などのように、活断層が知られていなくても大地震が起こることから、「活断層に偏重しない地震対策が重要だ」と強調する。